【リレートーク#1 浦田 愛】今はとりあえず、お互い生きていさえすればいい。

  この「リレートーク」では、Thanks Caregivers Projectのプロジェクトメンバーが不定期に気持ちを語ります。栄えある第1回目は、自身もエッセンシャルワーカーとして、文京区内の大変な状況下にある方々に日夜寄り添う、文京区社会福祉協議会係長の浦田愛さんにお願いしました。




 こんにちは。文京区社会福祉協議会の浦田です。2度目の緊急事態宣言という事態になってしまいましたね。私たち社会福祉協議会の仕事は、緊急事態宣言が出ても止められないものが多くあります。


 認知症などにより判断力が低下した方のための金銭管理サポートや、高齢者のみまもり訪問事業、困窮する子どもがいる世帯への食支援、そして、最も大変だったのは初めの緊急事態宣言が出る前の3月から全国的に始まったコロナにより減収された方への緊急小口資金等の特例貸付です。すべての市町村の社会福祉協議会でこの業務を行っていくことになりました。  


 文京区では、3月から12月の間で2,883件の貸付業務を行いました。仕事が減ってしまった、失ってしまった方々からの相談が多く入り、職員総勢50名の内、最大30名でチームを組み、ゴールデンウイークも相談対応を続けました。(下写真 感染対策もされた環境での貸し付け相談中の様子)


 現在では、新規の相談もまだ終わらず、貸付が終了したのにも関わらず生活が立ち行かない方への相談にも対応しています。最も心が痛むのは、この貸付を利用する方々は普通の生活をしていた方達で、月に30~60万円程度の収入があった方が一気に収入がなくなるような事態になっていることです。制度があっても抵抗があり、制度利用をするにあたっての心の準備に伴走していくことが大事だと考えています。  

(写真上)必要な人は誰でも持って帰ることができる「食のパントリー」

 また常に頭にあることは、医療や介護のエッセンシャルワーカーの皆さんのことです。私たち同様、感染爆発と言われても、緊急事態宣言が出ても出勤を続けなければならない状況で、感染のリスクを抱えながら大変な思いをされていると思います。エッセンシャルワーカーさんたちの気持ちを考えると、私たちができるのはとにかく感染に気を付けて自粛して生活をするしかないと思っています。 


 先の見えない日々ですが、このような状況だからこそ、改めて何にメンタルを支えられていたのかに気づかされたような気がします。職場の仲間たちとのたわいもない会話、友人からの年賀状、夫とのくだらないおしゃべり、娘たちの元気そうな笑顔。旅行や趣味ができない中でも、今のモヤモヤややるせない気持ちを共感し合い「お互い生きていさえすればいい」と言いながら乗り越えていこうと思います。 


(うらた・あい)文京区社会福祉協議会係長。介護福祉士、社会福祉士。特別養護老人ホーム勤務を経て、平成21年に文京区社会福祉協議会に入職、ボランティア・市民活動センターに従事し、平成24年度からモデル地区の地域福祉コーディネーターに従事。地域の居場所「こまじいのうち」や学習支援「てらまっち」の立上げに携わる。平成30年から係長となり、10名の地域福祉コーディネーターが所属する地域福祉推進係と地域連携ステーションフミコムを担当している。

Thanks Caregivers Project

援助が必要な人によりそう介護者や家族のみなさん、医療従事者のみなさん、教員のみなさん、そしてさりげなく電車で席をゆずってくれたあなたにも感謝したいサイトです。わたしたちはみんな、Careをgiveできる。すべてのCaregiverに、きょうのあなたに、ありがとう。