【小学校校長編】 子どもの貧困で思うこと
本調査では、本調査に関連して思うこととして自由記述欄にお声をお寄せいただきました。その一部をご紹介させていただきます。まずは、小学校の校長先生のお声です。*文末の数字は校長先生が勤務なさる学校の在籍児童数です。
・朝食欠食児童(経済的理由を含む)の在籍(週に1、2回校長室で朝食)(小学校 137)
*これは、本調査で明らかになった「Caregiverとしての教師」がより行っている,個人的な物品支援の一面です。本調査では教員の労働時間と内容しかご紹介しておりませんが、校長先生からも上記のようなご報告がございました。
・ひとり親家庭における家庭環境が経済的に不安定だったり、不規則な生活だったりする場合がある。(必ずしも一人親家庭とは限らないが…)家庭生活が不安定だと、生徒指導が必要になってくるので、保護者対応等が求められてくる。→教員の労働時間の増加(小学校 207)
・離婚率の増加に伴って様々な課題が発生している。学校だけでの対応では難しいことが多く、関係機関と連携して対応しているが限界を感じる。ひとり親家庭への経済的・心理的支援の充実を図ることとともに教育の原点である「教育基本法」の第一条、教育の目的を改めて再確認したい。(自己の反省も込めて)(小学校 616)
また、保護者の尊厳と状況の改善に狭間で苦しむ、校長先生や学校関係者の皆様のお声も寄せられました。
・①保護者であるべき父母がどちらも育児を放棄し、祖父母が無理に養育している事例が珍しくなくなってきた。 →社会経済的背景が極めて厳しく、たらいまわしを繰り返すので養育歴もよくない。人として生きていくための基盤が根本的なところから形成されていないため、社会的トラブルが絶えない。公立教職員の生徒指導の域を遥かに越えており要警察対応事案となるケースが年間に3-4件発生している。家族の社会不信も極めて強いため、その大きなストレスが反作用として担任や学校管理職に向けられ、そこに費やす時間と苦痛は教員の離職を誘発させるときがある。(小学校 383)
・家庭の生活基盤の不安定から、生じていると考えられる「登校しぶり」が見られる児童がおり、地方自治体の福祉担当専門職員による家庭への支援や指導をしていただけるとありがたい。学校として、「生活の改善」というところまでは、なかなか踏み込めない。経済的な不安定さを抱える家庭が多くなり、給食費の未納、学納金の未納等が、大きな問題となっている。給食費の公費化や、減額等の制度が導入されるとよいと思う。(小学校 326)
・家庭への経済的支援制度について、様々な制度があることについて、周知を図っているが、経済的に苦しそうと思われる家庭で、その制度を活用してないことがある、家庭の問題でもあるので、特定の家庭に学校として踏み込んでいくのには、家庭と学校の関係を築く上で抵抗感が生じてしまう。(小学校 249)
・本学区には、児童養護施設があります。最近は虐待やネグレクトによる措置がほとんどです。学校では、精神的サポートや学力対策に頭を悩ませますが、福祉からの援助があるらしいので、給食費等金銭的な負担が学校に押しつけられることはありません。
最近は、一軒家に住んでいるものの経済的な裏付けが乏しい家庭、また共働きでようやく家計を支え、子どもの教育に力を注ぐ余裕がない家庭、さらにひとり親家庭(母子・父子)も増加し、学校はまさしく社会の縮図として荒れてきているような気がします。貧困家庭においては、就学支援等の経済的な支援がありますが、現在の制度では、市町村の児童相談員や福祉関係の方が、家庭の中まで入り込めない場合(該当家庭に拒絶された時)が多く、本校でも家庭内の状況に危惧している児童が数名いる状況です。個人の権利・尊厳も守りたいですし、本当に困っています。(小学校 68)
また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活躍に期待するお声も寄せられました。
・貧困と低学力によりキャリア形成に差が生じている。発達面に課題のある児童の早期の対応・支援。SC(スクールカウンセラー)の配置常駐、特別支援教育支援員、学習支援員の配置・増員、教員の定数の増加(小学校 157)
・X県では、地区(教育事務所単位)にSSW(スクールソーシャルワーカー)がいます。自治体によっては、これにプラスして、SSWを配置しています。小学校では(規模にもよりますが)教頭が連絡調整を行っています。小学校では(規模にもよりますが)教頭が連絡調整を行っています。家庭に関することでは過去にもSSWの力をかりることが多かったです。増員していただけるとありがたいです。同様に、SCは全中学校に配置をされていますが、小学校には、本当に大きなところだけです。児童だけでなく、保護者、教職員の心のケア(ストレスマネジメント)のために週1回、2週に1回でもよいので、全校配置を望みます。初期対応の必要性を重く捉えています。乱筆ですみません(小学校 22)
次回は中学校の校長先生のお声をご紹介します。
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